「起きなさい」
「食べなさい」
「静かにして」
「早く寝なさい」
子どもに毎日同じことを言っていること、ありますよね~
でも、子どもはなかなかすぐには言う通りにはしない。
だからイライラして怒ることもあり・・でも「怒っちゃいけないのよね」とモンモンとすることも・・・
実は「○○しなさい」と子どもに言う時は、「あなた○○しなさい」と、相手のことだけを言っている場合が多いので、相手(子ども)にとっては「命令された。注意された。」だけが伝わる場合が多いのです。このような「あなた」を主語として相手のことを言うメッセージを「あなたメッセージ」と呼んでいます。
相手に伝わりやすいメッセージは、主語を「あなた」から「わたし」に変えて「わたし」のことを伝える「わたしメッセージ」です。例えば「(あなた)起きなさい」は「あなたが寝ていると(事実を非難がましくなく言います)何回もお越しに来なければいけないから(私に対する具体的な影響を言います)とても困るの(影響に対する私の感情を率直に伝えます)」というような「わたしメッセージ」になります。子どもは自分がしていることで、親にどんな影響を与え、親がどんな気持ちになっているのかを親自身から語られるので、今度は見えた親についてどうすればよいのかを自分で考えるきっかけとなることが多いのです。
「あなたメッセージ」でお互いにイヤな気分になるより、「わたしメッセージ」で「わたし」を伝えることでメリットはたくさんあります。
2歳の男の子(G君)をお持ちのお母様(Yさん)のお話です。
G君は、いたずら盛り!コップで飲んでいた牛乳をニヤーっと笑って、床にこぼすそうです。Yさんはその度に「こぼさないで飲んでね!」と注意しながら床の牛乳を拭いていました。
ある日、Yさんは「なんでこぼされるとイヤなんだろう」と自分の気持ちを考えてみました。そして「牛乳が床にこぼれるとベタベタになってしまい、毎回頑張って拭いている自分が情けない思いになっているのだ」と気づきました。
そこで、Yさんは次に床を拭く時にG君に「わたしメッセージ」で伝えてみました。「あのね。G君がこぼした牛乳をママが拭いているでしょ。いつもこうやって一生懸命拭いてると、すごく大変で、ママ悲しくなっちゃってエーンなんだよ。(身振りを交えながら2歳の子にもわかりやすく)」
するとG君、ベビーチェアから出てきてティッシュを取り、Yさんの横で「ふきふき」と言って拭き始めました。Yさんは、我が子が小さな丸い手で隣で一緒に拭いている様子を見て、「この子なりに手伝ってくれているんだなぁ」と、愛しい思いになってきたそうです。
最初は「マッタク!」と思っていたYさん。「わたしメッセージ」で自分の思いを伝えると、そのままの自分が伝わるので(この時は「拭くのは大変」と伝えています)小さい子どもなりにどう協力したらよいかを考えるのですね。
イライラと怒って注意すると自分もイヤな気分になるし、子どもも「怒られた」ことだけが残るかもしれません。
こんな普段の何気ない毎日の中で私達が出来ることが実はたくさんあるのかもしれませんね。
親業訓練協会インストラクター 式 場 敬 子
□心理カウンセラー
□千葉県教育委員会「みんなで取り組む千葉教育会議」委員
□看護ふれあい学ふれあいコミュニケーションリーダー1級
千葉県市川市在住。3児の母。
自分を「良い母」とは思えず、自信が持てなかった育児中に出会った「親業」が、自分の人生の指針となりました。
自らの実体験を基に、親も一人の人間として子どもとどう向き合って行くかを、たくさんの親達に講座や講演会を通してお伝えしています。
同時に、あらゆる人間関係においても活かせるコミュニケーションスキルを、様々な場でお伝えしています。
式場敬子ホームページ:www.oyagyo.jp
親業訓練協会HP:www.oyagyo.or.jp
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▼親業の過去の記事
子どもの「考える力」は、日常のこんな一コマから☆(「くつ下がな~い!」編)
元ガミガミママ、今、親教育の専門家が伝える「親にとって大切なこと」