非常に増えているというシングルマザー。子育てと同じで、同じ状況になってみないと意外と知らないことが多いもの。
今回は、30代後半~40代前半を中心とする会員2000人を抱えシングルマザーの自立支援をする、シングルマザーサポート(株)代表取締役社長の江成道子さん(なんと5人のお子さんを育てたシングルマザー)にママハピ代表の谷平が実態についてお話を伺ってきました!
Q. シングルマザーになる背景はどういうものが多いでしょうか?
1位は昔から「離婚」で80%近くです。何年かの蓄積でいわゆる「性格の不一致」を理由にする離婚が多く、経済的理由やDVもあるほか、最近は男性から突然離婚を言われるというケースも増えています。
Q. シングルマザーのお悩みというのは何でしょうか?
やはり、経済力(日々のお金)です。
実は養育費というのは全体の2割しかもらっていない。つまり8割のシングルマザーは養育費を相手から支払われていないのです。
理由としては男性に経済力がないケースが多いです。払う意志がないというモラルの問題もあります。日本人は権利主張をあまりしないのですが、90%が協議離婚、つまり第三者をいれない離婚です。
DV被害にあったなど含め、関わりたくないのでその後も要求しないというケースが多いですね。
日本はシングルマザーの85%が働いていると言われ、これは世界の中でも高い水準です。シングルマザーの10%だけが生活保護を受けています。
Q. シングルマザーの平均年収は?
シングルマザーの支援金である児童扶養手当を含め、平均年収は200万円です。
手当は1人目、2人目、3人目と子ども人数や収入によって異なり子どもが18歳になるまでもらえますが、子どもが5人いた私でも月4~5万円の支給でした。
夫婦と子供2人の家庭の平均年収は650万円と言われます。
なので、その1/3近い年収のシングルマザーは貧困と言われるわけですね。
Q. どういう支援が必要と感じてらっしゃいますか?
ずばり、「自立の支援」です。
心豊かに安心して幸せになるには、最初の数年大変でも、自立するしかない。
相談窓口や支援団体はいろいろあるんです。手当や制度もある。
ただ、当事者として私自身は手当は使いましたが、どう稼げるようになるかをずっと考えてました。
シングルマザーになった後に年収400万円などにもっていける人が、共通してやっていることを教えてくれるところがありませんでした。
多くのマザーが「社会に出る恐怖心」を持っています。
だから能力発揮できずにいたり、誰でもできる簡単な仕事を選んでいたりともったいない。
私たちは、「年収300万円プロジェクト」をしています。
まず、これでいいんだという自信をもってもらい、復帰したいと感じてもらって、色々な仕事があるんだということを知ってもらう。採用後のフォローまでしています。
業態はバラバラですが、多くの企業にマッチングをしてきました。最近は地方創生ということで、シングルマザーに移住してきてほしいという地方の問合せもあります。
Q. 多くのシングルマザーは自立を望んでいるということですね?
私たちのところに問合せしてくださるのはそういう方々ばかりです。
その方に合わせてカウンセリングの中で、稼ぎたい人にはいつ頃にどのくらいの収入が必要か整理し、そのためにどういう仕事がよいのかお話します。
そこまで覚悟が決められない方は、逆に貧乏を楽しもう、というお話になりますね。焦らないことも大切です。
Q. 最近の成功事例はどんなものがありますか?
私たちは従業員5人で子どもは合計16人になるんですが(笑)、そのうちの1人の社員は48歳で10年越しに離婚をしました。社会経験が少なくお金に困ったこともなく育ってきた彼女は、稼ぐことに抵抗があり「みっともない」と思っていましたが、日々お金に困っていく状況になり講座を受けてもらいました。ライフプランを考え、子どもの年齢、自分の年齢と生活シミュレーションをすると年収400万円はないと無理だという結論になり、仕事を手伝ってもらうことになったのです。楽しんで結果を出せる仕組みも功を奏してか、いつのまにか「お金が友達みたいに楽しくなってきました」と仕事のやりがいを見出してくれています。
それから、埼玉の介護施設を運営する社会福祉法人の事例。
かなり人材不足の業界ですが、年収1.5~2倍を実現して4名に入社して頂きました。本人たちも笑顔で「大変ですよ」なんて話してくれますが、施設からも良い人材がきたと大変評価されています。
Q. 自立できる人とそうでない人の違いは何なんでしょうか?
ひとことでいうと、「素直さ」です。
自立するには「素直さ」が必須。人の話を主観やプライドを消して受け入れられるか。過去にとらわれ続けたり、自分を否定されたように感じてしまう人は成長しづらいです。
Q. ちなみに5人を育てた江成さんの両立やりくり&教育方針は??
今は子どもが27歳、24歳、21歳、17歳、15歳となりました。孫も4人います。保育園のみ利用して学童も使っていませんでした。
保育園に入れた時も3年間1度も休みませんでしたね。体質はあると思いますが、お母さんのメンタル状態は子どもの体調にすごく出ると感じてます。
どうしてもの場合、上の子どもに下の子どもをみてもらっていましたね。お母さんが休むのが一番いけないことと教えていました。初めて一番下の子を某テーマパークに連れてってくれたのも一番上の子でした。
うちは高校生になったら交通費や携帯代は自分で払う。留学費用もです。
私の経済状態がよくなってもその方針は変えていません。
今回も子どもの1人が韓国ダンス留学をしたいと言い始めて、自分で貯めてました。こんな感じですが、
「自由に自分で決めさせてくれてありがとう」と言われました。
自分のことは自分で考えさせる。
5人ともものすごく自立しています。
不登校もお母さんが病んではダメです。うちも不登校になったことがありますが、「お母さん忙しいから相手できないからね」と言いながら、会話として「自分の人生どうしていきたいの?そうだよね、自分の将来だもんね。」と考えさせてはいました。お母さんが悩むと子どもがもっと病む。あくまで家族とはいえ他人だから、母親が自分を責めたり悲しんでいてはだめです。
Q. シングルになるか迷っている女性にメッセージをするとしたら??
離婚はすべての人がもつ「選択肢の一つ」です。多くの人が選択しないようにしているという選択肢ではありますが、善悪で判断するものではありません。
決して離婚は悪いことではなく、幸せになるために旦那さんをもう1回大好きになるのも選択肢の一つ、もう一つの手段の選択肢として離婚がある。
偏見や世間体だけで踏みとどまるのは健康的ではありません。
未来が辛いものなら自立する上でも早く選択したほうが良い。
仲が悪い夫婦を見せられるのは子どもが苦しい。子どももその見本を見て同じような夫婦しかつくれなくなります。
偏見なしでこの選択肢と向き合ってみてください。
初めて聞くお話も多かったほか、同じ母として強く生きる女性からお話を伺って、子どもが自立するためには愛をもって、あえて甘やかさないことも大事だなぁと改めて感じさせられました。
貴重なお話、いろいろとありがとうございました!!
ママハピ事務局
2017年4月24日